職場のパワーハラスメント(パワハラ)とは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、労働者の職場環境を害する行為をいいます。
(改正労働施策総合推進法、令和元年6月5日広布、より)
職場内での優位的な関係というのは、上司と部下の関係だけではありません。ベテランの部下と、新任の上司のように、部下の方が職場内で優位な関係になることもあります。また、パートタイマーなどの非正規社員による正社員への嫌がらせがパワハラに該当することもあります。
業務上の適切な指導と、パワハラの違いも理解しておく必要があります。業務上の適切な指導とは、部下の育成やミスの改善などを目的として、業務上の問題点を指摘して解決の方法を指導すること等が該当します。
一方、部下の育成やミスの改善などの目的以外に、部下への嫌がらせや怒りをぶつけることが目的化してしまっている場合はパワハラと考えられます。
パワハラには、6つの行為類型があります。
※職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキンググループ報告書、より引用
・身体的な攻撃(暴行・傷害)
叩く、殴る、蹴るなどの暴行を受ける。丸めたポスターで頭を叩く。
・精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言)
同僚の目の前で叱責される。他の職員を宛先に含めてメールで罵倒される。
必要以上に長時間にわたし、繰り返し執拗に叱る。
・人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視)
一人だけ別室に席を移される。強制的に自宅待機を命じられる。
送別会に出席させない。
・過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
新人で仕事のやり方もわからないのに、他の人の仕事まで押し付けられて、
同僚は、皆先に帰ってしまった。
・過少な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を
命じることや仕事を与えないこと)
運転手なのに営業所の草むしりだけを命じられる。
事務職なのに倉庫業務だけを命じられる。
・個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
交際相手について執拗に問われる。妻に対する悪口を言われる。
これら6類型は、いずれも業務上の必要性や相当性に問題のある行為です。上司が部下を指導する場合等には、仕事上の目的や動機と、そのための手段を間違えないよう、十分考慮して行うことが大切です。
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